腰椎すべり症とは?年代別に多いタイプや症状の違い・日常生活での注意点
目次
腰椎すべり症は、腰の骨(腰椎)が本来の位置から前や後ろにずれて、神経が圧迫されて痛みやしびれを引き起こす病気です。
中高年に多いと思われがちですが、実は子どもや若い世代にも見られ、年代によって原因や症状が少しずつ異なります。
痛みだけでなく、日常生活にも影響を及ぼすことがあるため、早めの気づきと対策が大切です。
今回は、腰椎すべり症のタイプや年齢ごとの特徴、さらに症状を悪化させないための注意点についてわかりやすくご紹介します。
腰椎すべり症とは
人の背骨は、小さな骨(椎骨)がいくつも積み重なってできており、骨と骨のあいだには「椎間板」というクッションのようなものがあり、体にかかる衝撃をやわらげる働きをしています。
しかし、加齢や長年の体への負担などでこのクッションや関節が変形したり、すり減ったりすると、骨が前や後ろにズレてしまうことがあるのです。
これが「脊椎すべり症」です。
特に腰の部分で起こることが多く、腰痛の原因になったり、足のしびれ、長く歩けなくなるなどの症状は、ズレた骨が神経を圧迫して起きます。
腰椎すべり症になる原因は大きく分けて2つあることをご存じでしょうか。
以下の章で解説します。
若年層に多い「腰椎分離すべり症」
中学生や高校生の時期は、体がどんどん大きくなる一方で、骨はまだやわらかく、特に腰の部分(腰椎)に負担がかかりやすい時期です。
ジャンプや腰をひねるような動きを繰り返すと、背骨の後ろ側(椎弓)に強い負荷がかかり、「腰椎分離症」と呼ばれる疲労骨折が起こることがあります。
これが進行すると「分離すべり症」につながるのです。
野球やサッカー、バレーボール、柔道など、激しいスポーツを学生時代にしていた方は、このタイプのすべり症になるリスクがあります。
10代で分離症になっていても、当時は症状がなかったために気づかず、大人になってから腰痛や足のしびれとして現れるケースも。
もし痛みが続く場合は、早めにMRIやCT検査を受けることが大切です。
初期の分離症であれば、しっかりと安静にすることで骨が自然にくっつく可能性もあります。
再発を防ぐため、正しいフォームでの運動や、体幹を鍛えるトレーニングを行いましょう。
中高年に多い「腰椎変性すべり症」
加齢によって、腰椎を支える椎間板や関節、靭帯が少しずつゆるみ、背骨の並びが崩れてしまうのが「腰椎変性すべり症」です。
このタイプは、特に腰椎の4番目と5番目でよく見られ、長年にわたる腰への負担と、年齢とともに起こる体の変化が重なって、腰椎が正常な位置からズレてしまいます。
特に40代以降の中高年の女性に多く見られるのが特徴で、これは閉経によって女性ホルモン(エストロゲン)が減少することが関係しています。
エストロゲンには、骨を壊す働きを持つ細胞を抑えて、骨の強さを保つ重要な役割があるため、ホルモンが減ると骨がもろくなり、「骨粗しょう症」が進行。
骨が弱くなると、腰椎もズレやすくなり、変性すべり症のリスクが高まると考えられているのです。
腰椎すべり症は手術が必要?一般的な対処法
腰椎すべり症と言われても、すぐに手術が必要になるわけではありません。
症状や進行具合に応じて、「保存療法」と「手術療法」のいずれかが選ばれます。
- 保存療法(手術をしない方法)
多くの場合、まずは保存療法が選ばれます。
安静にしたり、コルセットで腰の負担を和らげたりすることで、痛みなどの症状が落ち着いてくるケースが少なくありません。
痛みが強いときには、炎症を抑える薬の内服や、神経の近くに麻酔を打つブロック注射が使われることもあります。
さらに、腰やお腹まわりの筋肉を鍛えるストレッチやリハビリを行い、腰への負担を減らすことで改善が期待できます。
- 手術療法(症状が重い場合)
すべての患者さんが手術を受けるわけではありません。
保存療法を続けても症状が改善せず、日常生活に支障をきたすほどの強い腰痛や足のしびれ、歩きにくさなどが出ている場合には、医師と相談のうえで手術が検討されます。
手術の方法には、神経の圧迫を取り除く「除圧術」や、ずれた腰椎を安定させる「固定術」などがあり、症状の程度や状態によって選ばれます。
腰椎すべり症でやってはいけないこと
腰椎すべり症は、何気ない日常の動作や姿勢によって、悪化したり痛みが長引いたりする場合があります。
無意識にとっている姿勢や、職場や家庭での作業の仕方を見直し、症状を軽くできるよう意識しましょう。
骨格に大きな負担をかける動き
骨格に大きな負担をかける動作の代表例は、腰を曲げたまま重い物を持ち上げることです。
腰椎すべり症の場合、ずれた椎骨に負荷が集中しやすく、痛みやしびれが悪化する原因になります。
また、中腰の姿勢で長時間作業をすることも同様にリスクが高まるため、注意が必要です。
女性は、ハイヒールを履いて長く歩くのは避けたほうがよいでしょう。
ハイヒールを履くと骨盤の角度が変わり、腰が反りやすくなって椎間関節に負担がかかるため、症状を悪化させるおそれがあります。
通勤や外出時は、靴の選び方や歩き方にも気を配りましょう。
急激なひねりや前屈動作
腰椎すべり症の方が特に気をつけたい動きのひとつに、急に腰をひねったり、勢いよく前かがみになるといった動作があります。
スポーツ中に素早くターンする動きは、ずれている椎骨に強い負担をかけるため、痛みが悪化したり、症状を進行させる原因になりかねません。
たとえば、ゴルフのスイングやテニスのサーブのように腰をひねるスポーツでは、体幹の筋力が不十分な状態で急な動作をすると、背骨が不安定になります。
また、仕事中や家事の最中など、日常のちょっとした動きの中でも、ふとした拍子で急に腰をひねってしまうことがあるため、普段の動きにも注意をはらいましょう。
長時間続く前かがみ姿勢
長時間前かがみの姿勢でいると、腰椎にかかる負担が大きく。
背中を前に曲げた姿勢が続くと、椎間板や関節にかかる圧力のバランスが乱れ、ずれている骨がさらに不安定になります。
たとえば、畑仕事や庭の手入れ、床の掃除といった家事も、無理な姿勢で続けていると腰への負担は増大。
腰椎すべり症の症状が強く出ている時期は、できるだけ腰を深く曲げずに作業する工夫が大切です。
長い柄の道具に替えたり、作業台の高さを調整して負担を軽くしましょう。
腰椎すべり症の保存療法とセルフケア
腰椎すべり症では、まず「保存療法」と呼ばれる手術以外の方法が選ばれることが多く、日常生活でのセルフケアも欠かせません。
症状が落ち着いても再発しやすいため、腰への負担を減らす方法を習慣づけ、悪化を防ぎましょう。
コルセットを正しく巻いて腰を支える
すべり症になった場合、コルセットの使用は効果的ですが、間違った巻き方をしてしまうとかえって症状が悪化することも。
コルセットを巻くときは上端がへそのあたり、下端が骨盤の上部にくる位置で巻き、お腹が締めつけられすぎて苦しくならないように注意してください。
呼吸がしづらくなるほどきつく巻くのはNGです。
また、肌に直接巻くと汗や摩擦でかぶれる原因になるため、必ず下に薄手のシャツやインナーを着てから装着するようにしましょう。
コルセットは、腰の痛みが強いときや、重い物を持つ作業、中腰姿勢になる場面で一時的に使用するのが効果的です。
1日中つけ続けてしまうと、腰を支える筋肉(腹筋や背筋)が弱くなり、かえって症状を悪化させる原因になります。
コルセットは痛みをやわらげつつ、腰を一時的にサポートするものですので、必要な場面だけに限定して、正しく使いましょう。
正しい姿勢を保ち腰への負担を減らす
普段から姿勢を意識することも、腰への負担を減らすために大切です。
背中が丸くなっていたり、反りすぎていたりすると、知らないうちに腰に余計な力がかかってしまいます。
まずは、ご自身の姿勢を見直してみましょう。
とはいえ、自分の姿勢を客観的に見るのは難しいため、スマホなどで横からの姿勢を撮影してチェックするとよいでしょう。
耳、肩、腰、膝、くるぶしが一直線に並んでいれば、バランスのよい姿勢といえます。
撮影した姿勢を参考に、胸を軽く張りながら、肩と耳が縦に一直線に揃うよう意識してみてください。
首の位置が整えば、自然と背筋も伸びて、腰への負担がぐっと減らせるはずです。
ストレッチでお尻や太ももの裏を伸ばす
腰椎すべり症の症状をやわらげるには、太ももの裏側にあるハムストリングスや、お尻の臀筋(でんきん)をほぐすストレッチが効果的です。
一方で、腰そのものを大きく反らせるようなストレッチは、かえって症状を悪化させるおそれがあります。
すべりを助長してしまうことがあるため、ストレッチを行う際は、必ず専門医のアドバイスを受けながら、安全に進めてください。

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広島周辺にお住まいの方で、腰椎すべり症にお悩みの方は、ぜひセラピストプラネットにご相談ください。セラピストプラネットは広島県広島市を拠点としている整骨院で、広島県内に10店舗を構えています。どの店舗も最寄り駅から徒歩1〜13分程度というアクセスの良さが特徴の一つです。どんな些細な症状でも、お気軽にご相談ください。一人ひとりの原因を突き止めて、解決への道筋を探し、一緒に改善を目指していきましょう。