膝の痛みが強くなり、歩行が困難になる原因のひとつが、膝関節の軟骨のすり減りです。
軟骨が消耗すると、骨同士が直接こすれ合い、日常生活にも支障をきたすことも。
運動療法や薬物療法で改善が見られない場合、変形した関節を人工膝関節に置き換える、人工膝関節置換術という手術が必要になる場合があります。

しかし、手術費用やその後の生活について不安を感じる方も多いでしょう。
今回は、人工膝関節置換術の費用や抑える方法、術後の注意点について詳しくご紹介します。

人工膝関節置換術の費用はどれくらい？

人工膝関節置換術の費用はどのくらいかかるのか、高額なイメージを持つ方も多いでしょう。
退院後も継続して費用が発生するのか、疑問や不安を抱える方も少なくありません。
実際の人工関節置換術の医療費は、入院費や差額ベッド代を含めて約200～250万円です。
次の章では、経済的な負担を減らすために活用できる制度について紹介しますので、ご自身の加入している保険を確認しておきましょう。

人工膝関節置換術は保険適用される？

人工膝関節置換術にかかる費用の内訳には、手術前後の検査料、手術料、麻酔料、入院時の検査料、薬剤費、食事代などが含まれます。
これらの費用は診療報酬によって一律に定められており、全国の医療機関で同じ金額となります。

人口膝関節置換術は公的医療保険が適用されるため、自己負担額は3割となり、約60～80万円ほどです。

人工膝関節置換術の費用を抑える方法は？

それでも高額に思う方もいると思いますが、高額療養費制度や限度額適用認定制度を利用すると、さらに自己負担を抑えられます。
どのような制度なのか詳しく見ていきましょう。

高額療養費制度

施設によって異なりますが、人工膝関節置換術では、検査、手術、入院リハビリを含め、入院期間は1週間から4週間程度必要となります。
そのため、場合によっては自己負担額が高額になることも。
こうした負担を軽減するために、1ヶ月の自己負担限度額を超えた分の医療費を保険団体が払い戻す制度があります。これが高額療養費制度です。

高額療養費制度を利用することで、実際の自己負担額はおよそ10万円まで抑えられるため、経済的負担を軽減できます。

限度額適用認定制度

限度額適用認定制度とは、手術や入院などで医療費が高額になる場合に、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えるための制度です。
この制度を利用するには、加入している健康保険へ申請し、「限度額適用認定証」を取得する必要があります。

申請方法は健康保険の種類によって異なり、健康保険組合の場合はその窓口、協会けんぽは各都道府県支部、国民健康保険は市区町村の窓口で手続きを行います。
医療費の自己負担には毎月の上限額（自己負担限度額）が設定されており、それを超えた分は「高額療養費」として後日払い戻されます。

しかし、一時的に多額の医療費を支払う負担が発生するため、手術や入院の予定がある場合は、事前に「限度額適用認定証」を申請しておくと安心です。
この証書を医療機関の窓口で提示することで、毎月の自己負担は上限額までに抑えられます。
なお、「限度額適用認定証」の有効期間は申請した月の初日から最長1年間です。

手術以外にかかる費用は？

では、手術以外にはどのような事に費用がかかってくるのでしょうか。
事前に確認して準備しておきましょう。

ベッド・食事などの入院費用

保険適用外となる費用には、差額ベッド代や食事代、入院用パジャマのレンタル料、シャンプーなどの消耗品の購入費、テレビや冷蔵庫の使用料などが含まれます。

通院リハビリにかかる費用

退院後は、通常1～3ヶ月程度の通院リハビリを行う施設が多く、これは一般的な外来通院と同様に医療保険の適用を受けることができます。
また、術後の転倒防止のために、自宅をバリアフリー化したり、手すりを設置するなどの対策を検討する方もいます。
一定の条件を満たせば、介護保険制度を利用して自宅の改修費用に対する助成を受けられる可能性があります。
介護保険制度の認定は体の状態によって異なるため、申請前に担当窓口で確認が必要です。なお、申請には医師の診断書が求められるため、主治医と十分に相談して手続きを進めましょう。

人工膝関節置換術をした後の注意点は？

手術後、自宅に戻ってからはどのような点に注意して生活すればよいのでしょうか。
これまで以上に膝への負担を軽減することを意識しましょう。
3つのポイントを説明します。

洋式中心の生活に切り替える

和式の生活では、しゃがんだ状態から立ち上がる動作が多く、膝に大きな負担がかかります。そのため、無理のない範囲で生活スタイルの見直しをおすすめします。

例えば、トイレの改修が難しい場合でも、洋式便座を上からかぶせる簡易的な方法で対応できます。
負担軽減のために検討してみてください。

・椅子とテーブルを使う生活に切り替える

床に座る習慣を改め、ダイニングテーブルや椅子を利用することで、膝への負担を軽減できます。

・ベッドを使用する
布団の上げ下ろしや床からの立ち上がりが不要になり、膝への負担が少なくなります。

・トイレを洋式に変更する
和式トイレは膝に負担がかかりやすいため、洋式トイレへ変更するか、簡易的に便座をかぶせることで負担を軽減できます。

重い荷物を持たないように意識する

膝に痛みを抱える方は、できるだけ重い荷物を持たないようにしましょう。
荷物を持つ必要がある場合は、車輪付きのショッピングカートやキャリーバッグを活用すると、膝への負担を軽減できます。
また、やむを得ず手で持つ場合は、片手で持ち続けるのではなく、適度に持ち手を変えることで、左右の膝に均等に負荷がかかるよう調整することが大切です。

膝を冷やさないようにする

膝が冷えると血管が収縮し、血流が低下します。
その結果、筋肉の動きが悪くなり、痛み物質の排出が滞ることにつながります。
日常生活では、膝を冷やさないよう意識することが大切です。

冷えを防ぐための対策
・ロングスカートやズボンを着用する
膝を冷やさないよう、肌の露出を控える工夫をしましょう。

・外出時にはストールを持ち歩く
膝にかけることで、冷え対策になります。

・入浴で全身の血流を促進する
湯船に浸かることで、体を芯から温め、血流を改善できます。

これらの対策を取り入れることで、膝の痛みの軽減につなげることができます。

人工膝関節置換術は入院なしでできる？

人工膝関節置換術は手術のため入院が必要です。

入院期間は、リハビリを含めて個人差があります。
片膝の手術の場合は約2～3週間、両膝の場合は約3～4週間が目安です。
しかし、体力があり回復が早い方は2週間程度で退院できることもあります。
一方で、高齢の方などは、十分なリハビリを行うために4週間ほどかけるケースもあります。

退院の目安としては、身の回りの日常生活動作（着替え、トイレ、階段昇降、屋外での歩行など）が、自立して行えることが1つの基準です。

患者の体調や回復状況によって入院期間は異なるため、無理のないスケジュールでリハビリを進めることが大切です。

広島周辺で人工膝関節置換術でお悩みの方はセラピストプラネットにご相談ください！

人工関節に置き換えた後も、周囲の筋肉や靭帯はそのまま残るため、手術後には筋力の低下や膝の動きの制限が生じることがあります。
リハビリでは、これらの機能を回復させ、痛みを軽減させます。
広島周辺にお住まいの方で、人工膝関節置換術にお悩みの方は、ぜひセラピストプラネットにご相談ください。セラピストプラネットは広島県広島市を拠点としている整骨院で、広島県内に10店舗を構えています。どの店舗も最寄り駅から徒歩1〜13分程度というアクセスの良さが特徴の一つです。どんな些細な症状でも、お気軽にご相談ください。一人ひとりの原因を突き止めて、解決への道筋を探し、一緒に改善を目指していきましょう。