先天性股関節脱臼は大人になったらどうなる?歩き方への影響・予防方法などを解説!

先天性股関節脱臼とは、どのような病気かご存知ですか?
先天性というのは、外傷や病気によって股関節に脱臼が起こるものではなく、生まれつきや生まれた直後などに起こるものを指します。つまり、幼少期や大人になってから発症するものではないということです。しかし、先天性股関節脱臼の場合、その多くは出生後に発症します。
では、先天性股関節脱臼を患っている人が大人になったらどのような経過を辿るのでしょうか。日常生活に影響があるのか、治療が必要なのか気になりますよね。
今回は、先天性股関節脱臼の原因や症状、特徴などについて詳しく解説していきます。

先天性股関節脱臼とは?

出典:赤ちゃんの股関節脱臼 ―正しい知識と早期発見のために― | 日本小児整形外科学会

先天性股関節脱臼とは、股関節すなわち骨盤と大腿骨が接触する部分の脱臼です。まず股関節は、大腿骨側の大腿骨頭と骨盤側の臼蓋と呼ばれる部分が凹凸となり可動を可能にしています。脱臼は、この大腿骨から臼蓋が外れてしまっている状態のことを指します。また、完全に外れてはいないけれど、外れかかっている状態のことを亜脱臼と言います。
外れてしまうと上手く可動ができないだけでなく、股関節または足の向きがおかしい、痛みを伴うなどの症状が現れます。

先天性股関節脱臼の原因は?

先天性股関節脱臼の原因は、大きく分けて2つに分類されます。しかし、この要因は2つとも重なることで股関節脱臼を引き起こすと言われており、胎内より股関節脱臼を患っていることはほとんどありません。
では、2つの要因について解説していきます。

外因性要因

外因性要因とは、遺伝子や先天性疾患などの要因ではなく外部からの要因によって引き起こされるものです。これは、脱臼を誘発する大きな要因になるとも言われています。特に生まれた直後は、容易に股関節脱臼を引き起こしやすく、抱き方やおむつの交換、分娩時の体位は注意すべきポイントです。
股関節が可動域に沿わず強制的に伸展された場合に脱臼しやすく、特におむつ交換時に生じることが多く見受けられます。また、骨盤位で出生した場合、足から分娩されるため股関節が伸展し発症しやすい要因にもなります。

内因性要因

内因性要因とは、外因性とは反対に遺伝子や家系など元々備わっている要因のことです。内因性要因がまったくない赤ちゃんでは、外因性要因が加わったとしても股関節脱臼を引き起こしにくいとも考えられています。
明らかに遺伝的な疾患を指摘するものではありませんが、家系的に股関節脱臼や変形性股関節症などがあると脱臼しやすい遺伝があるのではないかと考えられています。

先天性股関節脱臼を発症しやすい赤ちゃんの特徴は?

先天性股関節脱臼を発症しやすい2つの要因については解説しましたが、その他に発症しやすい特徴はあるのでしょうか。

女の子

女児が先天性股関節脱臼を発症する割合は、男児よりも約7〜10倍で多いと言われています。その理由として、女児は男児に比べ生まれつき股関節が柔らかいことが考えられます。

冬生まれ

理由ははっきりとしていませんが、なぜか秋や冬などの寒い時期に出生する赤ちゃんに多く見られるようです。

先天性股関節脱臼を予防する方法は?

生まれたばかりの赤ちゃんが股関節脱臼をするのは、できれば避けたいですよね。どんなに気を付けていても発症してしまう可能性もありますが、先天性股関節脱臼を予防する方法はあるのでしょうか。

無理に膝関節を伸ばさない

一番の予防策となるのは、無理な伸展をさせないことです。赤ちゃんの体は柔らかく、動きも活発なため、どうしても動きを抑制してしまう場面があるでしょう。しかし、長さや強度は違えど骨格や神経は大人とほぼ同等にできあがっています。可動域を考慮してあげることで、股関節脱臼を防ぐ大きなポイントとなるでしょう。

コアラ抱っこをする

予防策の一つとして「コアラ抱っこ」が推奨されています。赤ちゃんの良肢位は、M字開脚の姿勢です。赤ちゃんを正面から抱っこし、足の間に手が入るような姿勢で抱っこしてあげることで、股関節脱臼を防ぐことができると言われています。これは、コアラが木につかまっているような体制であることからそう呼ばれています。

先天性股関節脱臼は大人になったらどうなる?

先天性股関節脱臼は、早期発見・対処することにより、完治することが見込まれる疾患です。予後も良好で、ほとんどの場合後遺症などの心配はいりません。しかし、発見が遅れたり対処せずに経過してしまった場合、どのような結果になるのでしょうか。下記で詳しく解説していきます。

赤ちゃんの時に完治していれば問題ない

前述した通り、乳児期に完治していれば成長後も何の問題もなく過ごすことができます。股関節は年齢とともに成長するものですが、早期発見・対処することで成長の妨げになることはほとんどありません。

無治療だと変形性股関節症を発症しやすくなる

もし、股関節脱臼を発見できなかったり対処できなかった場合は、どうなるのでしょうか。
脱臼していることで、大腿骨頭や臼蓋に大きな負担をかけることになります。そのまま経過していくと、負担の蓄積等により変形性股関節症を発症する要因になります。変形性股関節症は、長年使い続けられてきたことによってお年寄りや無理な体制などが多かった人などに多く見られる疾患です。痛みや違和感、可動域制限などの症状を伴う場合があり、人工股関節術という手術を要することもあります。
人工股関節術の人工股関節には寿命があり、30年程度で入れ替えが必要なものです。若年層での人工股関節の挿入は、体に大きな負担ともなりその後の生活にも多少の可動域制限が生じます。

特徴的な歩き方になる

先天性股関節脱臼が完治せずに経過すると、特徴的な歩き方をすると言われています。それは「トレンデレンブルグ歩行」と呼ばれ、痛みのある方の足をかばうような歩き方です。また、痛みのある方の足で片足立ちをすると、反対側の骨盤が下がっているようにも見ることができます。
歩き方に癖があるため、骨盤から下肢にかけての筋肉の付き方にも左右差が生まれます。

広島周辺で先天性股関節脱臼でお悩みの方はセラピストプラネットにご相談ください!

先天性股関節脱臼は、大腿骨頭と臼蓋が外れてしまう、または外れかかることによって引き起こされる疾患です。先天性とは言うものの、そのほとんどは出生後に患う後天的なものです。先天性股関節脱臼を発症する要因は大きく分けて外因性と内因性があります。発症する多くは、この2つの要因が重なることで起こると言われています。しかし、内因性要因がまったくない児では、外因性要因が加わったとしても股関節脱臼を発症しない場合もあります。
先天性股関節脱臼は、早期発見と対処によって後遺症なく完治することが可能な疾患です。しかし、発見が遅れてしまったり対処をしなかったりすることで、特徴的な歩き方になってしまったり、変形性股関節症になってしまったりする場合があります。また、変形性股関節症の場合は、人工股関節術という手術を要することもあります。
こういった事態を防ぐためにも、おむつ交換や抱っこの際など日常的に行える予防策が効果的です。赤ちゃんの体は柔らかく、ある程度の肢位は問題ありませんが、膝関節を過度に伸展させると股関節の脱臼につながることがあるので、無理に伸展させないように注意しましょう。
広島周辺にお住まいの方で、先天性股関節脱臼にお悩みの方は、ぜひセラピストプラネットにご相談ください。セラピストプラネットは広島県広島市を拠点としている整骨院で、広島県内に10店舗を構えています。どの店舗も最寄り駅から徒歩1〜13分程度というアクセスの良さが特徴の一つです。どんな些細な症状でも、お気軽にご相談ください。一人ひとりの原因を突き止めて、解決への道筋を探し、一緒に改善を目指していきましょう。